みなさんこんにちは。先月東成田駅について書いたついでに、成田空港の駅名について長年思っていることも書いておこうと思います。
少し前、羽田空港の話題ですがこんな記事がありました。
国際線ターミナルが第3ターミナルとなるのに伴い、直通駅名の変更を東京モノレールと京急電鉄が検討する。現在の駅名はモノレールが「国際線ビル」「第1ビル」「第2ビル」、京急が「国際線ターミナル」「国内線ターミナル」。
現在、羽田空港の第2ターミナルは国内線専用で、主にANAが使っています。これを、国際線も発着できるような施設に改修して、オリンピックに向けて利便性を高めよう!という記事です。
国内線はセキュリティチェックさえ受ければ飛行機に乗れますが、国際線の場合は税関・入管・検疫の各施設(この3つの英語の頭文字を取って「CIQ」と呼びます)が必要になるためです。
この記事の中で、ターミナルの名称が変わるのに合わせて羽田空港の駅名の変更を検討する、という記載がありました。
成田空港の駅名は?
一方の成田空港には、JR東日本と京成電鉄の2社が乗り入れており、第1ターミナルと第2ターミナルのそれぞれの地下に両社の駅があります。
ここで問題(だと個人的に思っていること)なのが、
- 第1ターミナルの駅名が「成田空港」駅
- 第2ターミナルの駅名が「空港第2ビル」駅
であるということです。
ぱっと駅名を見ても、「成田空港」駅は第1と第2のどちらか分からないし、「空港第2ビル」駅は成田空港の駅かどうかさえ知らないと分かりません。
世の中の人は電車で目的地に向かうとき、たいていは乗り換え案内のサイトなりアプリなりを使いますよね。
成田空港の駅名を知っている人なら何の問題もないのでしょうが、乗り換え案内に「なりた」って入れると、サービスによっては空港第2ビル駅は出てきません(駅すぱあと(アプリ版)で検索してみました)。
ということは知らない人は成田空港駅にとりあえず向かうことになります。第2ターミナル最寄りの駅である「空港第2ビル駅」に着く正確な時間は知らないままです。
実際のところは、成田空港に向かう全ての電車が空港第2ビル→成田空港の順に停まるため、思っていた時間より遅く着いた!という被害がないのが幸いです。
(このこともいまいちJR・京成が駅名変更に動かない原因のひとつかもしれません。時間に関するクレームは少なさそうなので)
なぜそのような名付けになってしまったのか?
成田空港の開港当初、成田空港駅は現在とは異なりターミナルビルの地下ではないところにありました。
以前紹介した東成田駅が、当時の「成田空港駅」として開業し、乗客はそこからバスでターミナルに向かっていました(まだ第2ターミナルは開業していないため、「成田空港」駅で良かったのですね)。
東成田駅から成田空港に向かう方法まとめ(2016年12月版) - 成田空港を応援したい。
旧・成田空港駅(現・東成田駅)開業:1978年
その後、いろいろ(成田新幹線問題とか)あって、ターミナル直下にやっと新しい成田空港駅ができたのが開港から13年後のことです。
現・成田空港駅開業:1991年
そしてその翌年の成田第2ターミナルの開業に合わせて、空港第2ビル駅も開業しました。
空港第2ビル駅開業:1992年
当時は羽田空港には一つしかターミナルビルがなかったため、第2ターミナルの駅だし空港第2ビル駅でいいんじゃない?という感じで決まったのでしょうか(あくまで想像ですが)。
その後、羽田空港にも第2ターミナルが完成し、モノレールがターミナルの真下に乗り入れ「羽田空港第2ビル」駅が開業しました。
※京急は駅の両端で第1・第2のどちらのターミナルにも接続しています。
羽田空港第2ビル駅開業:2004年
こうして、めでたく?成田空港駅と空港第2ビル駅というあまりにも分かりにくい駅名が成田空港に存在することになったのです。
唯一のアラビア数字が含まれるJR駅
JRの駅としては、空港第2ビル駅は全国で唯一のアラビア数字が駅名に含まれる駅だそうです。
JRの駅で唯一、アラビア数字が使われている駅名である(通常、駅名には漢数字が使用される)。
駅名はどうあるべきか?
駅名を分かりやすく変えるとすれば、やはり羽田空港にならって
- 成田空港第1ビル (or 成田空港第1ターミナル)
- 成田空港第2ビル (or 成田空港第2ターミナル)
が理想でしょうか?
これまでJRの駅名が変わった例は?
駅名を変えると、その駅までの運賃表や、駅の案内板、その他ありとあらゆるその駅に関する表示を変更する必要があります。
また、乗車券を発券するシステムや、SuicaのようなICカードのシステムも改修しなければなりません。
その駅だけではなく、JR東日本管内の多くの駅でも変更が必要ですし、他のJR各社や私鉄各線でも変更する必要が出る可能性があるかもしれません。
駅名変更をまとめていらっしゃるこちらのサイトによると、JRが発足した1987年から2008年まではそこそこJR駅でも駅名変更がなされているようですが、2009年以降は新幹線が開通して在来線の駅に新幹線が接続するようになった駅くらいしか変更されていません。
神戸市のJR三ノ宮駅も、三宮駅に改称を求める声があるようですが、こちらも「多額の費用負担が発生する」と記事にあります。
三ノ宮駅の「ノ」取って! 神戸市がJR西に要望、阪急阪神と同じ「神戸三宮」に - 産経WEST
茨城県龍ケ崎市のJR佐貫駅についての記事には具体的に「市によると、駅名改称に必要な発券機やスイカのシステム変更などの費用は通常で約6億3000万円と試算」とあります。
http://mainichi.jp/articles/20160610/ddl/k08/040/021000c
ただし、同記事には「市は税率改定に伴う料金体系の変更と同時なら市費負担がほぼ半額ですむと説明。同9月に結んだ協定では市が概算で3億2860万円を支払うと明記した」とあります。
消費税が10%に改定されるときには、JR側でもシステム変更を行う必要があるため、駅名の変更もそのときに一緒に行ってしまえば費用はJRと折半できるため安くなるという算段のようですね。
京成も併せて駅名を変更する必要があるが…
上の毎日新聞の記事によれば、主に発券機やSuicaのシステム改修に費用がかかるようなのです。
成田空港はJRと京成の2社が同じ駅名を使用しているため、乗客に分かりやすくするには京成側でも駅名を変える必要があります。
京成は首都圏の私鉄各社が加盟するICカード、PASMOの加盟社です。
ということは自社のシステムだけではなく、このPASMOのシステムを変更する必要があり、ここにも莫大な費用がかかってくるものと思われます。
(私はPASMOのシステムには詳しくはありませんが、京成線は北総鉄道・都営地下鉄浅草線・京急線と相互乗り入れを行っているため、少なくともこの各社の改札機はシステム改修を行う必要があるでしょう)
いくら消費税が上がるタイミングで鉄道会社がシステム改修をすると言っても、そもそも10%への増税は現状では2019年10月に先送りされています。それも確実に実施されるかどうかもまだ分かりません。
そして駅名変更にかかる費用を誰が負担するのか?JRか?京成か?国か?成田空港会社か?その割合は?と考えると、この駅名が変わる未来は当分来なさそうに思えます…
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