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航空管制英語は日常英会話に応用できるか?

こんにちは、なりっぴです。

「日本人は英語ができない」とよく言われます。中学高校で6年間英語を学び、大学によっては外国語の授業でも学び、最近では小学3年生から英語を必修化するなんていう話も。

電車内には英会話スクールの広告が多数掲示され、英語学習関連のブログには多数のブックマークがつきます。日本人の英語に対するコンプレックスは根深いのでしょうか。

もっと簡単に英語が話せたら…!思っていることが言えたら…!という方も多いと思います。

そこで今日は航空管制における簡略化された「管制英語」と、それを日常会話、特に海外に旅行に行ったときの現地の人との会話に活用する可能性について考えたいと思います。

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航空管制の世界の英語

さて、パイロットと航空管制官とのやりとりが全て英語で行われていることはご存知かと思います。その国の母国語でのやりとりもOKですが、国際線が中心の空港や、上空を飛行中の航空機に対する指示は基本的に英語です。

通信はそのエリアにいる全てのパイロットが聞いています。母国語を理解できるパイロットとの間でも英語で通信したほうが、それを聞いているその国の言葉を理解しないパイロットでも内容が理解できるからです。

 

彼らはみんな英語がかなりできるのでしょうか?

必ずしもそうではありません。*1

しかし、当然全世界で考えてみれば英語を日常的に話さない人のほうが多いですよね。

また、面と向かったコミュニケーションは航空管制には存在しません。全て通信は無線で行われるため、管制官・パイロットは可能な限り簡潔・明瞭に通信するように心がけています。

そのため航空管制の世界では、あくまでも英語を「道具」としてみなして、独自にこういうときにはこの用語を使うということを全世界共通で決めています。

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航空管制用語とは

例えば、以下のようなものがあります。

  • 相手が言ったことを確認したいとき:Confirm
  • もう一度言ってほしいとき:Say again?
  • ゆっくり話してほしいとき:Speak slower

などなど。

 

特徴的なのが、「YES/NO」について。

相手の言ったことを肯定したり、質問に対してYESと言ったりしたい場合には"Affirm"(アファーム)と言い、逆に否定する場合には"Negative"(ネガティブ)と言います。

短くYES/NOだと聞き漏らしたり聞き間違えたりしてしまうこともあるため、あえて長い単語を使うことで他の単語との混同を防いでいます。

他の基本的な用語については、こちらのブログで詳しく紹介されています。

航空管制用語のリスニング付き必須英語30個を実践解説 – ある航空管制官のブログ|管制塔と空のIoT事例を元管制官が解説

 

管制英語の3つの特徴

  1. 主語を省略することが多い
  2. 基本的に命令形を使う
  3. 接続詞・冠詞はなくてもOK

例1:Cleared for take-off.

 ー離陸を許可します。

例2:Say your altitude.

 ー(飛行中の)高度を言ってください。

例3:Confirm, are you ready for take-off?

 ー確認です、離陸準備はできていますか?

こんな感じです。

例1は"You are cleared for take-off"の"You are"が省略されています。

また、丁寧な表現はほとんど使われません。"Say again?"なんてネイティブが聞いたら乱暴な表現だなと思われるかもしれませんが、それよりも簡潔・確実に相手に伝わることの方を重視します。

 

英会話に使えるか?

航空管制の英語では、「指示→応答」もしくは「要求→回答」が基本です。そして「確認→復唱」をします。この繰り返しによって、パイロットは目的地へと飛行機を操縦しています。

一方、旅行で使うフレーズも「質問/要求→回答」ばかりです。道を聞く、値段を聞く、水がほしい、写真を撮ってほしいなどなど。

これらの用語や言い回しを私たちの日常会話でも使えるでしょうか?

 

上で挙げた3つの特徴は旅行中の簡単な会話にも使えそうです。

  1. 主語を省略することが多い
  2. 基本的に命令形を使う
  3. 接続詞・冠詞はなくてもOK

他にも、用語自体は使えるでしょうか?

 

相手の言ったことが途中から聞き取れなかったとき

相手 "Turn right at the next corner, then..."

自分 "Next corner, and can you say again after?"

相手にもう一度言ってもらうのが"Say again"ですが、そのままだとちょっと強すぎるので、途中から繰り返してもらいたいときなど、理解できた部分を繰り返してからCan you say again after?とするのが良さそうです。もしくは、"〜〜, can you say again the rest?"("残りを繰り返してください")です。

直接話しているときには相手の顔を見つつSorry?と言う方がはるかに簡単そうですが、電話など見えないシチュエーションで有効だと感じます。

 

相手の言ったことがなんとなく分かったけど聞き返したいとき

相手 "Turn right at the next corner, then..."

自分 "OK, just confirm, turn right?"(right)

確認なんだけど…と言いたいとき、confirmを使いましょう。"Just"をつけるとより「ちょっとした確認」感が出ます。

"Let me confirm..."(私に確認させて、)というふうにlet meを入れると「私が」確認したいということが強調されます。

"OK, turn right?"だけでも通じるとは思いますが…

 

とにかく、「伝えるには喋るしかない」

航空管制のための管制英語自体は、あくまでもその用途に特化しているため日常的には使わなさそうです。(日常的に"affirm"なんて言いませんよね)

ただ、その「簡潔・明瞭に」相手に伝えるというスピリットは簡単な英会話には活かせそうです。

自分の英語の間違いを恐れるあまり口ごもっていては、そもそも何も相手に伝わりません。相手が何か言っている、こういうことかな…?で失敗するよりも、とにかく「Confirm」すれば良いのです。分からなければ、「Say again?」です。

とにかく何かを相手に伝えようと思ったら、喋るしかないのです。

かの日曜夜の番組でも、芸人出川哲朗さんが体当たりでつたない英語力を駆使する企画がありますが、まさにあれです。

出川イングリッシュが凄い!出川哲朗はコミュニケーションの怪物 - さようなら、憂鬱な木曜日

 

疑問文にしたかったら、Doを最初に持ってきてDo youで、次に動詞で…とか考える前に、Youで始まる文章を喋ってから語尾を上げれば疑問文です。場所を聞きたければ"Where"で、時間を聞きたければ"When"で始めれば、少なくとも何を聞こうとしているか相手は分かるはず!

 

私もそんな感じで話しています。

こちらのJTBの調査では、2015年の数字で海外旅行に行った人の割合は約8%。10人に一人も海外旅行に行っていません。

2016年海外旅行の現状についての調査・調査レポート - JTB総合研究所

英語力に自信がないから海外に行く人が少ない…というわけではないとは思いますが、もっと海外旅行をする日本人が増えればいいな〜と思います。それでは!

 

 

ちなみに私はこの本を読んで基本的な英語の構文がぱっと出てくるようになりました。かなりおすすめです!

どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)

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 海外に行くなら?こちらもどうぞ

www.love-narita.com

 

*1:もちろん航空会社のパイロットも、航空管制官も、国際民間航空機関(ICAO)の定める英語力レベルで6段階中4段階以上である必要があります。ICAO標準航空英語試験というものがあります。

国際民間航空機関 - Wikipedia