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高速バスの車椅子対応は進むのか?成田空港から幕張に向かうバスに乗って考えた

こんにちは、なりっぴです。

訪日観光客6,000万人を目指す政府は、観光の分野でもユニバーサルデザイン導入の推進、バリアフリー化を積極的に進めています。

直近での大きなイベントといえば2020年のオリンピック、パラリンピック。

現在、通常の路線バスでは車椅子リフト付きの車両もありますが、高速バスは下に荷物が積めるよう座席が高くなっている車両なので車椅子のまま乗車するのは非常に困難…

ですが、昨年夏から実証実験の一環として、成田空港と海浜幕張駅・幕張メッセを結ぶバスのうち1日3往復のみ、車椅子のまま乗車できる特別車両にて運行されています。

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たまたま今回これに乗る機会がありましたので紹介します。

 

車両真ん中に大きなドア

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真ん中あたりに大きな窓のついたドアがあり、荷物室はその前後にあります。通常のリムジンバスはトランクが3つあることを考えると、一つ分の荷物スペースを犠牲にして車椅子リフトを付けていることになります。

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車体の横には車椅子リフトのマークがついています。通常の海浜幕張行きはこの第2ターミナル12番乗り場から出発しますが、リフト付きバスに限りその5分前に少し手前の9番乗り場で車椅子の方の乗降を行い、12番バス停に移動してその他の乗客を乗せるダイヤになっています。

これは、リフトを使用した乗り降りに3分程度かかるため、ひとつのバス停を長時間占有しないようにするためと思われます(各バス停は最小5分間隔でバスが発着するため)。

車内の様子

今回は車椅子のお客さんはいなかったので、中は普通の高速バスと変わりませんでした。

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車体中央付近の窓には車椅子マークが。

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外に開く窓の部分は、上の荷物棚が大きく窓側に寄っています。

車椅子のままでの乗車方法

私はてっきり車椅子とはいえ当日その場で乗車可能で、バスの座席は何らかの方法で折りたためるのかなと思っていましたがどうやら違うようです。

路線バスでノンステップタイプのものは車体中央付近に折りたたみ式の椅子があり、後部ドアからリフトが出てスムーズに乗車できる場合が多いと思います。

ノンステップバス・リフトつきバスについて

― バリアフリー対応車両の導入を進めています ―

地域に暮らすすべての方のおでかけが、より気軽で楽しいものになるよう、東急バスはバリアフリー対応車両の導入に取り組んでおります。

バリアフリー対応車両の内訳(2015年3月末現在)

車両数
ノンステップバス 550両
スロープ板付ワンステップバス 302両
合計 852両
(全車両に占める割合 94.8%)

ノンステップバス

乗降口の段差が少ないので、お子さまからお年寄りまでどなたでも乗り降りしやすいバスです。

リフト付きバス、スロープ付きバス

リフト付ミニバスやスロープ板付バスは、車椅子のお客様にも快適にバスをご利用いただけるよう、乗降口に電動式リフトやスロープ板が配備されております。

 

さまざまなバスのサービス|東急バス

 

ただ、高速バスの場合その場での対応は難しいようです。

成田空港~海浜幕張駅・幕張メッセ[リフト付バス]|高速バス|京成バス

京成バスのサイトによれば、乗車希望日前日の17:30までに電話での予約が必要とのこと。

同じく羽田空港とYCATを結ぶ路線でリフト付きバスを運行している京急バスのサイトを見ても、前日の営業時間中(17時まで)に電話での予約が必要となっています。

羽田空港⇔横浜駅線リフト付きバスを導入いたします | 運行情報トピックス | 京浜急行バス

リムジンバスでも羽田とTCAT間に導入していますが、やはり前日18時までの電話予約が必要。

お知らせ|リムジンバスの東京空港交通

 

京成バスのプレスリリースでは、座席定員44名、車椅子2名乗車時28名となっています。ということは車椅子の方1名につき、座席を2席×4列分取り外しその空いたスペースに車椅子のまま乗車するということになります。

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3〜6列目は椅子の下の構造が異なる

たしかに、座席を見ると4列だけ構造が異なるものがありました。

ちなみに車椅子スペースも通常時座席として使用できるのは京成バスのみで、他の2社は車椅子スペースとして折りたたまれているとのこと。

リムジンバス セレガ リフト付きバス

こちらのサイトが非常に参考になりました。

実際に車椅子の方の利用はあるのか?

昨年3月末から横浜市内と羽田空港の間で運行させている京急バスでは今年4月末までに延べ14人がリフト機能を利用した。グループ企業を含め、保有している空港・高速バス246台(今年3月末現在)のうち、バリアフリー対応は、この1台のみ。京成バスも保有する空港・高速バス162台のうち、バリアフリー対応しているのは、千葉市内と成田空港間で運行させているリフト付きバス1台だけで、運行開始の昨年8月16日から今年4月末までのリフト利用者は延べ2人だった。

バリアフリー:空港・高速バス「高い壁」…低床化阻む荷室 - 毎日新聞

今年5月の毎日新聞によれば、京成バスは8月から4月末までの約9ヶ月間で利用したのはたったの2人だけ。YCAT線の京急バスでは約1年間でたったの14人。あまりにも少なすぎます。

上の記事には各社担当者に聞く「リフト付きバスが普及しない理由」を書いていますが、結局は「不便だから」に尽きると個人的には思います。

リフト付き高速バスの不便さ

その1:本数の少なさ

そもそも実証実験中とはいえ路線が少なすぎます。羽田からは横浜、成田からは幕張。リフト付きバスは乗降にかなりの広さをもつスペースが必要なため、条件を満たす(そしてそこそこ利用客が多そうな)乗り場を選定するとこうなったのでしょう。

しかし各社とも保有するバスは1台ずつ。このバスがせっせと往復することを考えると、一日あたりの便数も自然と限られてきてしまいます。羽田横浜は4往復、成田幕張は3往復しかありません。

その2:乗り場の少なさ

その1でも書いたように、リフト付きバスのリフトを出し入れするためには広いスペースが必要となってしまうため、通常のバス停では対応できません。

そのため成田空港では第2ターミナルのみ、羽田空港でも国際線ターミナルのみ、バスが停まります。その他のターミナルに行く利用客はわざわざターミナル間を結ぶ連絡バスに乗らなければなりません。

それなら最初から電車で行く、という人も多そうです。

その3:気軽に乗れない

電車に車椅子で乗り降りする場合には、駅員さんにお願いしてスロープをセットしてもらえればある程度スムーズに利用できます。

路線バスの場合も乗降を見たことがありますが、バスの運転手さんが一度降りて、車両についているスロープをセットしてその場で乗り降りができます。

しかし、高速バスの場合には前日までに予約しなければなりません。しかも日中に電話で。心理的なハードルも高いと思われます。

今後の展開に期待

つい先日、バスタ新宿にも車椅子対応乗降所が今後整備されるというニュースが、同じく毎日新聞にのりました。

https://mainichi.jp/articles/20170906/k00/00m/040/127000c

2017年中に整備されるそうです。

むしろ、あんなに大きいターミナルなのに車椅子乗降所を想定してなかったんだ!?という感はありますが、きちんとユーザーの声を聞いて整備する方針を固めたことはある程度評価できるのかなという気もします。

アメリカやフランスではリフト付きバスはもっと身近な乗り物になっているようで、バス事業者だけではなく、乗り降りする場所を管理する側もきちんと対応を考えていく必要がありそうです。

成田空港:50億円で客用トイレ全改修 20年3月までに - 毎日新聞

成田もトイレを頑張ってバリアフリー化してたりしますし、バス停の方もぜひ第1と第3ターミナルでも対応してほしいものです。後はバス停の近くにある、煙だだ漏れの喫煙所もなんとかなれば…