こんにちは、なりっぴです。
今日は海外旅行のスタイルが変わるかもしれない、今年からの新しい制度の話です。
- 2017年度から日本に帰国したときにも免税での買い物ができるようになりました!
- 海外旅行の楽しみといえば免税店での買い物!
- 出発時に買いすぎると…
- みんな思ってた、「帰りに免税品を買いたい」と
- 日本では国管理空港を民間に委託する流れが広がっています
- そして到着時免税店導入へ
- 成田にも到着時免税店はできるのか?
- 到着時免税店に求められるもの・方向性は?
2017年度から日本に帰国したときにも免税での買い物ができるようになりました!
【2017年12月追記】
- 11月15日に成田の第3ターミナル
- 12月1日に成田第1ターミナル南ウイング
- 12月15日に成田第1ターミナル北ウイング
にそれぞれ到着免税店がオープンしました。
これで成田空港に到着したお客さんは、全て日本到着時に免税店で買い物ができます。現時点では酒・タバコのみのようですが、噂によれば化粧品も販売できるように調整中だそうです。
第2ターミナルは入国審査の前にお店がありますが、第1・第3は手荷物を受け取るエリアにお店があります!
https://www.naa.jp/jp/20171108-toutyakumenzei_13.pdfより
【2017年9月追記】
9月1日に、成田空港の第2ターミナルに到着時に買い物ができる免税店がオープンしました。
現時点では成田の第2ターミナルのみですが、今後大きな空港には続々オープンしていくことでしょう。楽しみに待ちましょう!
【2017年8月追記】
http://www.naa.jp/jp/20170629-Arrivaldutyfree.pdf
成田空港では、9月初旬に、第2ターミナルに到着時に買い物ができる免税店がオープンするようです。(具体的な日時は未定)
現在の日本の制度上、購入できるのは外国製品のみ。ここでも取り扱い品目は売れ筋の酒・タバコのみとなるようです。
第2ターミナルの店舗の場所は、入国審査の手前に2か所。ちなみに第1,第3ターミナルでも年内のオープンを予定しているようです。
【追記ここまで】
政府は昨年2016年12月22日、2017年度の税制改正大綱で到着時免税店を導入することを閣議決定しました。
○到着時免税店の導入
到着時免税店において購入した物品を現行の携帯品免税制度の対象に追加。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/29taikou_gaiyou.pdf
この税制改正大綱では、配偶者控除の見直しがテレビなどでかなり取り上げられ話題となりましたが、ひっそりとこんな話も載っていたんですね。
海外旅行の楽しみといえば免税店での買い物!
海外旅行の楽しみの一つが、免税店でのお買い物。出国後エリアの免税店で買い物をすると、消費税や酒税、たばこ税が免税となった金額で品物を購入することができます。
これらの税金は本来は日本国内で品物を消費することを前提にして課税されているわけですが、国際空港の出国後エリアでは国外に持ち出すことが明らかなため、国外で消費されるとみなして最初から税金をかけずに販売されているというわけですね。
ということは、高価な品物になればなるほど、一律に8%課税されている消費税の額が大きくなるためその分お得感が増します。国際空港に高級ブランドブティックが並んでいるのはそのためです。また、酒・たばこ税もかからないため、同じく免税店で多数販売されています。
私も海外旅行に出発する際、成田空港でウイスキーやBOSEのポータブルスピーカーを買い、普通に日本で買い物したときの値段と比べてお得感でホクホクしたのを覚えています。(BOSEのスピーカーってどこのお店でも定価販売ですよね。。)
出発時に買いすぎると…
でもいくら免税だからと言っても、これから飛行機に乗って海外に行くわけです。まだ日本から出てもないのにめちゃくちゃ荷物を増やすわけにもいかず、あれもこれも欲しいけど帰りの荷物のことを考えるとそんなにたくさんは買えない…
せっかく旅行に行くんだから現地でお土産も買いたいし、スーツケースの容量にも限界があるし。荷物が重いと帰りに預けるときにめちゃくちゃ高い超過料金を取られるし、持ち運びも大変だし。
みんな思ってた、「帰りに免税品を買いたい」と
ためしにYahoo!知恵袋で検索してみました。みんな帰ってきたときにも免税品を買いたいんだなあ…ということがよく分かります。
海外では、到着時に免税で買い物ができる国は比較的多くあります。
例えば、写真は私がニュージーランドに行ったときにオークランド空港の到着ロビーで撮影したものですが、出発ロビーとほとんど変わらずに化粧品や香水、酒類が多数売られていることが分かります。
日本では国管理空港を民間に委託する流れが広がっています
そこでまず立ち上がったのが国土交通省でした。2013年の税制改正要望が見つかったので、以前から要望をしていたと考えられます。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000195293.pdf
なぜ国土交通省?と思うかもしれませんが、それには空港の管理を誰がしているのか?という話をする必要があるかもしれません。
現在、成田・中部・関西+伊丹・仙台の5空港ではそれぞれ民間の会社が運営を行っていますが、他の大多数は国もしくは地方自治体によって管理されています。
そのうち北海道の7空港、神戸空港、広島空港、福岡空港など国内の多くの空港で、運営をそれぞれまるごと民間に委託しようという動きがあります。今ホットな話題、いわゆる「空港民営化」です。
北海道の7空港、一括で運営委託 道が民営化案 :日本経済新聞
2019年の福岡空港民営化に向け、国交省が投資意向調査を実施 | 新・公民連携最前線 PPPまちづくり
広島空港の運営民間委託へ 県、28年度中に基本方針 - 産経WEST
国が管理する各空港では、現在は滑走路などの基本施設の整備や保守は国の予算で行っています。飛行機の着陸料や、空港施設の使用料などの収入で賄われているのですが、実はほとんどの空港で赤字です。空港を維持するために国がお金を出しているのです。
「空港には飲食店や物販店があるし、そこの収入は?」と思うかもしれませんが、各空港のターミナルはそれぞれそのターミナルビルを運営する会社が運営しており、その部分だけを見れば国管理空港の全てが黒字ということもあわせて報じられています。
空港ごとに基本施設の赤字とターミナルビルの黒字を合わせると、多くの空港で黒字となるそうです。
非航空系事業ではすべての空港で黒字。航空系事業と非航空系事業を合わせた試算では、黒字が18空港となり、前年よりも1空港増加した。
以下の記事を見ていただくと各空港にターミナルビル運営会社があることがお分かりいただけるかと思います。
国内空港58社の売上高ランキング、首位・羽田が全体の約5割を占有、増加率は但馬空港がトップに | トラベルボイス
従って、空港の運営を全て民間に委託してしまい、「後はそれぞれ創意工夫で便数を増やしたりお客さんを増やしたりして、収入を増やして頑張ってね」とすると国の負担が減ります。
そのためには各空港でいわゆる「非航空収入」を増やすことが課題となってくるわけです。飛行機の便数を急に増やすことは難しいですが、各空港がお客さん一人ひとりに使ってもらうお金を増やすことは比較的簡単そうです。
国土交通省としては、このままの状態だと民営化と言っても引き継ぎづらいだろうし、収入を増やす手立てがあるなら頑張って要望するよ!ということなのでしょう。
そして到着時免税店導入へ
2016年の4月に政府が到着時の免税店制度を導入する検討に入ったことが報じられました。
国際空港の入国エリアにも免税店 政府、29年度にも導入検討(1/2ページ) - 産経ニュース
その後財務省内で検討が行われた結果、GOサインが出されたようです。*1
到着時に国内で免税品を買うのは、海外の出国時や帰りの機内で免税品を買うのとほぼ同じって理屈みたいですね。
国内空港に到着時免税店ができれば、今まで海外の空港に落とされていたお金がある程度日本の空港に落ちるかもしれないということで、日本の空港の体力強化にもつながります。
成田にも到着時免税店はできるのか?
すっかり話が長くなってしまいましたが、成田空港ではどうでしょうか?
これまで到着時の免税店は認められていなかったわけですから、そもそもそんなスペースを想定してターミナルを作っているとも思えません。到着階のコンコースなんてトイレと壁の装飾くらいしかないですよね。笑
その先には入国審査と、手荷物受け取り所と、税関のカウンターくらい。
ただ、「非航空収入」の拡大を目指す成田空港ですから当然到着時免税店のスペースはなんとしても捻出してくるはず。つまり、わずかなスペースでどれだけの品揃え・魅力を打ち出せるかが勝負の鍵となります。
成田空港を支える「非航空系事業」の知られざる収益力|山田英夫のビジネスモデル・ラボ|ダイヤモンド・オンライン
到着時免税店に求められるもの・方向性は?
税制改正が発表されたため、成田だけではなく各空港ともに到着時免税店を設置する方向で当然検討を進めていると思います。
個人的には、昨年から関空・伊丹の運営を始めた関西エアポート株式会社がその親会社であるヴァンシエアポート(世界中で30を超える数の空港を運営しているそうです)のノウハウを遺憾なく発揮して、その強みを到着時免税店にも打ち出してくるのではないかと期待しています。
また、同じく昨年から仙台空港の運営を始めた仙台空港会社も、東急電鉄が親会社ですから、東急グループの知恵を結集して免税店を作ってくるのではないかと思います。
先日もこんな記事がありました。
政府は19日、仙台空港など民営化された公設空港の国内線ターミナルで、保安検査場を通過した先の搭乗待合室などの保安区域に、見送りに来た家族やツアーガイドも入れるよう規制を緩和する検討に入った。行動範囲を広げることで利便性を高め、空港利用者の増加を後押しする。
19日の未来投資会議で、宮城県が要望した。安倍首相は会議で「安全性が確保できればセキュリティーゾーン(保安区域)まで見送り客が入り、買い物ができるようになる」と語った。
国内線の見送り客にも買い物をしてもらおう!!という要望をしたようです。 いかに仙台空港がアグレッシブに収入増を狙っているかが分かります。
そして肝心の品揃えですが、酒・たばこは免税幅が大きい上に購買層も幅広いためどうしても商品として多くなりがちでしょう。
しかし、その分旅行客も見飽きているのではないかと私は思います。だって免税店って酒とたばこばっかりじゃないですか??(その分売れてるってことなんでしょうけど…)
2020年には東京オリンピック・パラリンピックも控えていますし、政府は訪日外国人数の目標を同年に4000万人まで増やすことを目標としています。
政府、訪日外国人目標を一気に倍増 2020年=4000万人、2030年=6000万人(1/2ページ) - 産経ニュース
せっかく日本に来る外国人客が増えても、「なんだ、結局酒・タバコ・香水ばっかりか」となっては興ざめです。日本人だって、そんなに高級なお酒ばかりは買わないでしょう。
国際線の長旅で疲れていても、お!これは!となるようなラインナップを目指してもらいたいです。例えばキットカットの抹茶味に対抗してスニッカーズの抹茶味を開発してもらうとか。たこ焼き器を実演販売してみるとか(日本食ブームに乗って)。
成田空港会社はせっかく三越と組んで市中免税店を運営しているわけですから、ここは三越さんの売り場力、企画力をしっかりパクって取り入れてどこに出しても恥ずかしくない免税店を見せてもらいたいなあと思っています。
企業情報|株式会社 Japan Duty Free Fa-So-La 三越伊勢丹
今各方面でべた褒めのガチャガチャのような企画力が出てくればいいなあと思います。成田空港から海外へ行き、成田に帰ってくるのが楽しみになるような、そういう店作りを期待しています。
*1:到着時免税店の設置により、入国旅客は、本邦に到着した後においても免税品の購入が可能となり、入国旅客の利便性の向上、国際観光旅行の促進に繋がると考えられる。また、これは従来の外国や機内販売で購入された物品への携帯品免税適用の延長線上のものであり、現行の携帯品免税制度の枠内で実施される限りにおいて、国内産業や税関実務等に与える影響は限定的であると考えられる。上記を踏まえ、本邦国際空港内に保税売店として到着時免税店を設置し、そこで入国旅客が購入して輸入する物品(外国貨物)についても携帯品免税の対象に含まれるよう措置することが適当と考えられる。