LCC航空会社、成田空港のカウンターが騒然 パイロット行方不明の噂も - ライブドアニュース
今朝ネットを見ていたところ、こんな見出しが目に飛び込んで来ました。
記事の「ざっくり言うと」を引用します。
- 成田空港で7日、バニラエアのチェックインカウンターが騒然とした
- 「乗員繰り」で欠航となり、「パイロットが行方不明」という噂まで流れた
- 「乗員繰り」はパイロットの体調不良による欠員だと後に分かった
パイロットの体調不良による欠航だそうです。この記事は余程PVを稼ぎたいのか「行方不明」などというセンセーショナルなワードを使っていますが、そこまで重大な話ではありませんよね。欠航になった便に乗る予定だったお客さんは災難だったなとは思いますが。
バニラエア セブ→成田便が欠航… | We Love マクタン
この記事では一応バニラエアに取材をしており、バニラエアとしては乗員の交代要員は用意しておらず、欠員の場合は便を欠航にして他の便に振り替えという方針だそうです。
LCCはその運賃の安さを実現するためにさまざまなところでコストカットをしています。乗客の目に見えるところでは機内サービスや座席指定の有料化、単一機材での運航(バニラエアの場合はエアバスA320のみ)などです。
目に見えないところのコストカットの話として、今回予備の乗員がいないということが分かったわけですね。必要になるかどうかも分からないのに乗員を待機させておくよりも、欠航にしてお客さんには他の便に振り替えてもらうほうが合理的だという経営判断です。
上の記事では、バニラエアの印象が悪くなるような書き方をしていて、結論として「乗員が足りなくて欠航になるリスクがあるから、LCCは乗らないほうがいいかもしれない」とまとめています。
でも、乗員が急に体調不良で乗務できなくなって欠航するリスクは、日本発の外国の航空会社の便も同じではないでしょうか?
基本的に外航社はその国を出発し、日本で折り返してまた戻る運航になっているので、日本発の便に乗る場合は代わりの乗員が日本にいることはほとんどないと思います。
なので、日本を出発するときに乗員繰りで欠航するリスクを減らしたいなら、「ANAかJALに乗れ」と結論付けるしかありません。
今回のバニラエアの件は直前になっての欠航だったためお客さんが空港に集まってしまい多少騒ぎになってしまったようですが、乗員繰りによる欠航は今回が初めてではありません。
バニラエアは今でもそんなギリギリの乗員繰りで運航しているのでしょう... - Yahoo!知恵袋
こちらは今年3月のもの。乗員不足のため遅延が発生していたようです。
2014年にも、バニラエアとピーチで乗員不足のための欠航が多数発生しました。
バニラエア、6月に150便程度を欠航へ | FlyTeam ニュース
それから3年経ちますが、いまだにパイロット不足が解消されていないということですね。
さて、現在日本でパイロットとして働ける年齢は何歳でしょうか?
答えは、67歳です。正確には、68歳の誕生日の前日まで乗務できます。かなり高いですよね。もちろんいろいろな制限はあります。夜間のフライトができなかったり、月間の飛行時間に上限があったり。
パイロット年齢上限、67歳に引き上げ 国交省が人手不足で :日本経済新聞
かつては60歳が上限でしたが、2009年頃から徐々に引き上げられました。日本ではそれだけパイロットが足りていないのです。
2014年にピーチが那覇空港で起こした重大インシデント。このニュースを見たとき、「アルゼンチン人機長」に驚いたのを覚えています。
ピーチ、那覇空港沖で異常降下 国交省「重大インシデント」認定 : J-CASTニュース
それだけ各社はパイロットをかき集めていて、今後世界中で航空需要が一層高まる中パイロットの養成がかなり重要な課題となると思います。というかもう既になっています。
私の知り合いにも、日本の大手航空会社に長く勤めたのち定年を迎えてゆっくりできると思っていたら、その会社の傘下のLCCでパイロットが足りず請われてLCCで乗務しているという方がいます。年齢制限はギリギリですが、当然厳しい身体検査をパスできるくらいしっかりした人です。
最近、「格安スマホ」のトラブル相談が2.8倍になったと国民生活センターが注意喚起を出していましたが、そのうちLCC関係でもこういう注意喚起が出るのでしょうか。
“格安スマホ”のトラブルが2.8倍~国民生活センターが注意喚起 - ケータイ Watch
成田空港だけを見ても、LCCの割合は全体で30%、国内線だけだとLCCの割合は実に72%にも達しています。LCC就航元年と言われた年からもう5年。かなり認知度が高まり便数も増える中で、パイロットの養成についても国としてもう少し対策を取ってほしいなと思います。
LCC関連の記事