千葉県の津田沼といえば、船橋市と習志野市のちょうど境目あたりにある東京のベッドタウンである。
JR総武線と京成線が東西に走っており、東京駅まで総武線快速で約30分とアクセスはそこそこ良く、住んでいる人は多い。また、京成線に乗れば成田空港まで約40分なので成田空港勤務者も比較的多く住んでいる。
そんなJR津田沼駅の南口で現在大規模なタワーマンションが建設中。計画決定からかれこれ3年半経った昨年12月から建設が始まった。最近近くに行く用があったので見に行ってきた。ついでにいろいろと調べたので書いておきたい。
仲よし幼稚園跡地活用事業について
仲よし幼稚園跡地活用事業 事業者選定結果について 習志野市ホームページ
もともと「仲よし幼稚園」があったこの市有地は、JR津田沼駅から徒歩約5分という好立地で、当事業が決定するまでは長らく平置きのコインパーキングとなっていた。
東京ベイ船橋ビビット2017-2016-2015-2014 : 習志野市仲よし幼稚園跡地開発@習志野市JR津田沼駅前(2)
2013年に習志野市の事業として公募され、三菱・三井不・野村の3不動産JVが事業者に選ばれた。買い取り予定価格は56億円。
この建設予定地の北西側にはもともと個人商店がありこの公募事業はその部分を欠いたものだったが、事業が決定してから土地の買収に成功し、少しだけ計画が広くなった。さらに決定時点では750戸とあったものが、759戸に増えた。等価交換方式だろうか?羨ましい…
施工は(株)フジタ、建築主は三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャル、野村不動産の3社。
上の写真では事業の期間は2016年12月1日〜2020年7月29日までとなっている。余談だが、2020年東京オリンピックの開会式は7月24日らしい。
フジタは、津田沼駅前の商業施設「モリシア」や、最近大規模に再開発された「奏の杜」エリアのマンション群、ボートピア習志野などを施工しており、習志野市となぜだか縁が深い。
目の前の道路を挟んで反対側には「モリシア」がある。
敷地の北側歩道から西方向を撮影
計画の内容
名称 : (仮称)仲よし幼稚園跡地活用計画
所在地 : 習志野市谷津1丁目1340-24外
敷地面積 : 8,050.23㎡
主要用途 : 共同住宅(759戸)、自転車駐車場
建築面積 : 4,331.62㎡
延床面積 : 88,116.30㎡
構造 : 鉄筋コンクリート造 基礎免震
階数 : 地上44階、地下2階、塔屋2階
高さ : 152.10m(最高高さ161.04m)
着工 : 2016年12月
完成予定 : 2020年9月
設計 : フジタ一級建築士事務所
施工 : フジタ
事業者 : 三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャル、野村不動産
その他、提案内容(PDF)によれば、市民ピロティ広場、市民集会室、保育所スペース、コミュニティカフェ、市民ギャラリー等も予定されている。
待機児童の増加が社会問題となる中、保育所スペースができるのは大きい。
工事の状況
(2017年11月18日現在)
(2017年9月16日現在)
(2017年8月21日現在)
大型クレーンはいなくなり、地下部分を掘り進めていた。
(2017年6月5日現在)
現在は大型クレーンなどにより基礎工事の真っ最中。この写真を撮っている間にもコンクリートミキサー車がひっきりなしに出入りしていた。
交通アクセス
マンションからJR津田沼駅
マンションを買う際に気になることのひとつが都心へのアクセスだろう。
まず、JR津田沼駅までは上の工事中写真を撮った場所(歩道橋の上)から、商業施設「モリシア」の2階デッキを通り、信号も階段もなく歩いていける。おそらくタワーマンション側も同じ高さにデッキないしは広場ができるだろうから、駅までのアクセスは抜群。
実際に歩いてみたところ、駅の改札前まで4分かからないくらいだった。信号もないし、おそらく走れば1分台で着けると思われる。
(8月27日追記)
某マンション口コミ掲示板のようなところで、駅から帰宅する際にモリシアの中は通り抜けられるのか?という疑問があった。
この写真はモリシアの南側で、右を向くとマンションの予定地である。将来的にはこの歩道橋がもっと幅広なペデストリアンデッキの一部となるのだろう。
モリシアにつながっている部分。一見いつでも通行可能には見えないが…
実際には物理的なドア・シャッターなどはなく、24時間通り抜けられるものと思われる。
※ただし、マンションが完成するころにはどうなっているかは分からない
マンションから京成津田沼駅
成田空港に通うなら、JRではなく京成線の津田沼駅に向かうことになる。同じ津田沼という名前は付いているが、JRと京成の津田沼駅はかなり離れており歩くと20分はゆうにかかる。
Googleマップによれば、徒歩で13分らしい。このマンションよりさらに西側の奏の杜からだとおそらく15〜20分くらいかかると思うので、それよりは近い。
都心へのアクセス
JR津田沼駅からは総武線快速に乗れば東京・新橋・品川・横浜方面へ乗換なし。各駅停車では、秋葉原・御茶ノ水・新宿方面へ乗換なし。しかも朝の通勤時間帯には津田沼駅始発の列車もある。
朝は日本橋・大手町方面に行く地下鉄東西線直通の列車(しかも全て津田沼始発)もあり、7時台に4本、8時台に5本もあって便利だ。
東西線は混雑度がものすごいが、始発に乗れればそこまで苦にならないはず。総武線各駅停車、東西線にはそれぞれ女性専用車両もあり女性には嬉しい。
朝は時刻表よりも遅れがちなので少し余裕が必要だが、津田沼8:00発に乗って大手町に8:50に着くイメージ。日中平常時なら、総武線快速で東京駅まで約30分。西船橋で東西線快速に乗り換えれば、日本橋まで約35分。
帰りの時間帯にも東西線から総武線に直通する津田沼行きが多数あるし、総武線の終電は津田沼1:20着まである。これだと秋葉原で0:30まで飲める。すごい。
成田空港へのアクセス
京成津田沼駅から京成線の特急に乗ると、空港第2ビル駅まで40分。9時までに出勤するとすれば、8:03発の特急に乗ると8:49に着く。日中の空港行きは1時間に3本走っている。
成田からの最終電車は津田沼止まりというのもGood。津田沼より先の船橋方面に帰るには終電の1本前に乗らなければならないため、この差は大きい。
2017年10月28日のダイヤ改正で、空港・京成成田からの京成線の終電が津田沼よりも先に行くようになった。時間の繰り下がり等はなく、空港第2ビルを23:06に出る電車に乗れば津田沼まで帰れる。
羽田空港へのアクセス
実は羽田空港へのアクセスも良く、JR津田沼駅前から羽田空港行きの高速バスが出ている。
片道1,230円で、回数券を買えば片道1,111円になる(1万円で9枚)。朝は30分おきに出ており、第2ターミナルまで最速で45分、ピーク時で1時間15分。座って行けるのでかなり楽だと思う。旅行の際にも便利だろう。
周辺環境
JR津田沼駅(南口から北向きに撮影)
駅の北側と南側
JR津田沼駅は、北口側は船橋市、南口側は習志野市となっている。北側は飲食店も多く、どちらかというとごちゃごちゃした雰囲気。
南側は商業施設のモリシア、千葉工業大学、駿台・河合塾などの予備校が中心のすっきりとした雰囲気。最近大規模に開発された「奏の杜」エリアは駅の南西側に広がっている。南東側には公務員住宅が多く、駅に近い場所ではこれまであまりマンションが分譲されていない。
買い物
北側はイオン、イトーヨーカドー、ドン・キホーテ、パルコなどが並ぶ商業エリアとなっていて便利。
南側はモリシア内にイオン、ニトリ、セリア、TSUTAYA、ヤマダ電機などが入っているほか、丸善やユザワヤなど大型専門店も多い。
モリシアの地下食品売場はもともとイオンだったものが最近リニューアルしてダイエーになり少しきれいになった。生鮮食品は同じ地下に「角上魚類」があり新鮮で種類豊富な魚を買えるほか、野菜・肉も安く手に入れられる。
JR津田沼駅南側
このタワーマンションの予定地のそばには奏の杜フォルテという商業施設もあり、スーパーのベルク、しまむら、ダイソー、サンドラッグなどが入っている。
モリシアの脇からはららぽーと行きの路線バスも出ていて、片道200円。車で10分ほどの新習志野エリアにはディスカウントストアのMr.MAXや、東京インテリア、島忠ホームズなどもあり、さらにそこから5分程度で幕張新都心の巨大イオンモールにも行ける。
子育て・教育
【保育園】
タワーマンションができるエリアは「奏の杜」再開発で子供の数が急増したため、保育園にすんなり入れるとは言い難い状況となっている。
保育園の数は増えているものの(奏の杜エリアのみで4箇所もある)、場合によっては入所できない可能性もある。
習志野市のサイトによると、0歳児か3歳児以上であれば比較的決まりやすいようだ。
物件内にも保育室スペースができるようなので、そちらにも期待したい。
(2017年11月追記)
マンション内に認可保育園ができることは確実なようだ。ただし、認可園なので習志野市の申し込み枠となるため、住人だから優先的に入れるということはないとのこと。
【幼稚園】
習志野市立の津田沼幼稚園か向山幼稚園が徒歩・自転車圏内にある。どちらも定員には余裕があるようだ。
【小学校】
奏の杜エリアはあまりに急激に子供の数が増えすぎ、近隣の谷津小学校ではなくだいぶ離れた谷津南小学校へバス通学となっている。
このタワーマンションはと言うと、約1km離れた向山小学校が学区となっている。
子供の足だと20〜30分くらいかかるだろうか?交通量はそこまで多くはないが、道は比較的狭くアップダウンもある。途中京成線と交差する部分には踏切もあるため少し心配かもしれない。
【中学校】
学区は第一中学校。こちらは約600mの距離。
医療
津田沼中央総合病院が徒歩約5分の場所にある。奏の杜フォルテには内科・婦人科や歯医者があり、奏の杜エリア内に耳鼻科や小児科もある。
少し離れるが、京成線谷津駅(バスで10分弱)前には谷津保健病院もある。
習志野市は中学生までの医療費助成制度があり、通院・入院1回ごとに自己負担300円、薬は自己負担なしで医療が受けられるようになっている。
行政
【ごみ】
習志野市では金属やガラスなどの燃えないごみ、ビン・缶・ペットボトル・古紙などの資源ごみ、電池などの有害ごみ以外は全て「燃えるごみ」として出せる。
しかもゴミ袋は指定のものに限らず、スーパーのレジ袋などで出しても良い。素晴らしい。
【図書館】
谷津図書館まで歩いて15分くらい。
【ガス・水道】
水道は千葉県企業局の供給、ガスは習志野市企業局。
私は以前習志野市に住んでいたことがあるが、この習志野市企業局のガス代がやたらと安い。一ヶ月に標準的な家庭が使う量の32㎥だと、習志野市では約4000円。隣の船橋市に供給している京葉ガスだと約5300円。50㎥だと、習志野市では約5800円、京葉ガスだと約7700円。
地震・災害
地震
政府の地震調査研究推進本部が発表した最新版の資料では、今後30年以内に震度6弱以上の地震に見舞われる確率は約56%。
http://www.j-shis.bosai.go.jp/labs/karte/Y2017/5340402132/meshinfo.html
習志野市の地区別防災カルテでは、このマンションの予定地のみ「やや液状化しやすい」となっている。
地区別防災カルテ 習志野市ホームページ「谷津小学校区」より
ただし周りが液状化対象外の地区なので、地中の水道管などが被災して「建物は無事なのにインフラの復旧が遅い」という事態にはなりにくいのではないか。
もちろん建物自体は免震構造で建設されるようだ。
津波
当場所の標高は海抜15.6m(国土地理院のサイトで調べた)。JR津田沼駅周辺はそこから北東に広がる台地のちょうど端っことなっているため、隣の船橋駅と比べるとだいぶ標高が高い(JR船橋駅は海抜4.1m)。
国土地理院のデジタル標高地形図「首都圏湾岸」をもとに作成
千葉県津波浸水予測図で見ても大丈夫そう。
予想される価格
千葉県内でも一二を争うほどの高層マンションである当マンション。総武線の快速が停まる駅周辺(市川や稲毛など)のマンションは価格が高くなる傾向にあり、ここもかなり高額での分譲になることが予想される。
近くの奏の杜で現在分譲中のマンションは、専有面積70平米前後で販売価格が5,000万円前後と結構高い。昨今建設コストが非常に高くなっている中、駅前一等地のタワーともなればさらに高くなるだろう。
それでも奏の杜に家を買った世帯の買い替えや、船橋駅前のタワーマンションからの買い替えなど人気はかなり高まるだろうし、最多価格帯は6,000万円〜7,000万円くらいだろうか?いや、もっと高いかも?
(2017年11月追記)
どうやら南向き高層階の75平米前後3LDKの部屋で6000万円台らしい。東・西向きの中層階75平米3LDKで5,000万円台半ばくらい。だいぶ高い。
時期を同じくして幕張新都心地区にもタワーマンションが複数棟建設されることが発表された。2019年4月竣工の1棟目を皮切りに、2029年までかけてタワー6棟、レジデンス約10棟が建設されるようだ。
競合といえばこちらになるのだろうが、海沿いかつ超大規模ということもありこちらはそこまで売れるだろうか?人気が津田沼に集中しそうな気がしている。
結局、買いなのか?
何を重視するかにもよるとは思うが、「成田空港勤務」という私の視点から見ると「買い」なのではと思う。特に夫婦で働いていて、一方が空港、一方が都内といった場合にはどうしてもお互いに妥協できるエリアが限られてくる。
そんな中で津田沼というのは通勤や住みやすさの面から言っても比較的好条件といえるのではないだろうか。南口ならなおさら環境も良く、悩むとすれば金銭面のみなのでは。
…私が買うかどうか?サマージャンボでも買おうかな。笑
追記:当プロジェクトの公式サイトがオープン
すっかり仕事が忙しくなったこの頃、ついに当タワーマンションプロジェクトの公式サイトがオープンした。
やはり、駅ペデストリアンデッキ直結・免震タワーというのを売りにしている。2階には認可保育園(開園時期未定)ができるようだ。
ちなみに物件概要によれば販売開始は平成30年3月予定とのこと。いったいどれくらいの人気になるか、今から楽しみだ。
追記2:マンション名が決定
いつの間にか「津田沼ザ・タワー」になったらしい。頭文字TTTにこだわったのかな?